vol.1 山根悠太郎
「“見せたい”写真ではなく“残したい”写真 」を撮る。
2020.4.16 up
現在、アシスタントをしながら個人でもフォトグラファーとして活動する山根悠太郎。
写真に込めた思いとは?
コラボレーションについても語ってもらいました。
—カメラを始めたきっかけは?
高校生の時に先輩のカメラを触らせてもらったのが最初で、そこで楽しさを教えてもらえたかな。
そのあと、父さんがカメラを買ってくれて自分で撮るようになった。
高校2年生の夏でした。
—フォトグラファーとして活動し始めたのはいつ頃?
今はどんな仕事をメインにしてるの?
フォトグラファーって名乗り始めたのは大学2年生くらいで、独学で始めたから右も左も分からなかった。
どうしようかなって悩んでる時にちょうどその時よく拝見していた写真家の方がいて、アシスタントを募集しているってことがわかってすぐメールで連絡したんだけど、学生は学業との両立が難しいって言われてしまったから、半年後に大学を辞めてアシスタントになりました。今もやっているので、アシスタントになって2年が経つね。
琴ちゃんと出会ったのもそれぐらいだったよね?
—悠太郎との出会いは3年前かな。その時のことはよく覚えてる。
大学やめるって即決してたから行動力のすごさに驚いたな。
大学をやめることへの不安はなかった?
不安はなかったけど、覚悟はした!ここは僕のいる場所じゃないと思ってたから。
それに後押ししてくれたのは、母さんだったんだよね。辞めることに反対派だったんだけど、最後はやるからには頑張りなさいって背中を押してくれた。
—いつの時代も母は偉大ってことだね。
アシスタント歴2年、何か心境の変化はある?
独立っていうのを少しだけ意識し始めて、この年齢でちゃんとやっていけるのかなっていう少しの不安と、
早く家族に恩返ししたいっていう気持ちがグルグル渦巻いてるところ。
写真に対しては、学生の頃は師匠の写真一本!ってくらいの意識だったんだけど、今はいろんな写真家の方々の作品を観るようになったかな。ハマっちゃったら、それしか食べないみたいだったのが、今は肉も野菜も満遍なく食べますみたいな…(笑)めちゃくちゃ偏食だよね(笑)
—悠太郎を見てきた3年間で、悠太郎自身の作風もたくさん変化しているのが印象的だな。
でもその中に共通して悠太郎らしさを感じるのはなんでだろう?
それまでは、やっぱりまずは形からっていう意識が強くて、色味とか見栄えみたいなのを気にしていたんだけど、今は…、そうだなぁ。
今もついつい“見せたい”写真を撮ってしまうことがあるんだけど、ここでの“見せたい”写真っていうのは皆ではない誰かのために撮られた深みのない薄っぺらいものだと思っていて、それはただ時間と共に流されて忘れられてしまう気がしていて。消費されていく写真だなって思う。
だから、僕は“残したい”写真を撮れるよう心がけていて、単に綺麗だから、面白いからという見栄えを写しているよりも、自分が一歩引いた目で目の前に広がる景色を見たときの“気づき”を1つずつ拾ってあげることが大事なんじゃないかと思う。すごい言語化が難しい!
—見せたい、と残したい、は同じ1枚でも大きく違うね。
今の心境になったきっかけはあるの?
ある時、実家で家族のアルバムを見ていたら父が撮った僕が赤ん坊だった頃の写真が出てきて、それを見た時に自分の中でモヤモヤしてた写真に対しての気持ちが吹っ切れて。僕が撮ったわけじゃないのにすごいドキドキして、たぶん、僕が撮り続けたいのはこういう写真なんだと思った。
—そろそろ今回のコラボレーションについて質問するね。
最初にコラボレーションの提案をしてくれたのは悠太郎からだったよね。
なんで声をかけてくれたの?
何回かグッズの写真を撮らせてもらってたけど、琴ちゃんとちゃんと1つ作品を作り上げたことないなと思ってやってみたかったのをふと思いついた!って言う感じかな。
—すごく嬉しい提案だったよ。
このコラボレーションをすることが決まった時はどう思った?
始める前から良いものが作れそうっていう気持ちに勝手になってたよ!(笑)
—この4枚の写真を選んだ理由は?
あんまり写真として主張して欲しくなくて、琴ちゃんの描く曲線と溶け合って欲しかったから輪郭があまりはっきりしないものを選ばせてもらいました。これを撮った時は天気が良くて、部屋に良い光が入ってきてたから衝動的に撮ったと言う方が正しいかも。
—1番のお気に入りはどれ?
選べないな〜〜(笑)
でも、メインビジュアルになってるやつかな!
—一緒だ!同じ気持ちなのは嬉しいね。
でも、なんでそれを選んだの?
琴ちゃんの言葉を借りることになるんだけど、儚さの中にある力強さが一番感じられたな。
—この写真たちにどんな思いを込めた?
強いて言うなら、愛情かな?
愛でるようにシャッターを切ったつもりだよ(笑)
—出来上がった作品を見てどう思った?
すごくドキドキした!と同時に、「和泉大先生、流石です。」って思ったよ。
—さいごに、悠太郎にとっての日常の特別とは?
特別にいつもと違うことしなくても、日常の中に特別は転がっていて、それに“気づく”ことかな!
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collaboration design
私は今回、手と花をテーマにイラストを4つ描き下ろしました。
部屋に一輪の花があるだけで華やぐ心、ふたりの手が重なることの特別さ、そんなことを考えながらペンを握りました。
そして、悠太郎の写真と重なることで儚さの中に力強さを感じる作品になりました。
コラボレーションの限定アイテムもとても可愛い仕上がりですので、ぜひ、お手にとっていただけたらと思います。
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【profile】
山根悠太郎/Yutaro Yamane
写真家 。1998年生まれ、 島根県出身 。
2019年、夏に写真展「NO NAME」を開催 。
現在、写真家・東京祐氏に師事中。
https://instagram.com/yutaroyamane