Vol.3 井崎竜太朗


「自分の生み出したものに価値が生まれる瞬間 」
2020.6.17 up


様々な場所で活躍中の写真家、井崎竜太朗。
彼の写真から感じるアート性と非現実感。そのルーツはどこから?
​魅力を探るインタビューです。



—写真を初めたきっかけはなんですか?

もともと音楽が好きで、学生の時の遊び場がライブハウスだったんです。
僕はDJをしていたんですけど、その他に思い出を残そうと思って備忘録としてカメラを持ち始めました。
でもよく見かけるような蔓延している写真にはカッコよさを感じなくて、ストリートのカルチャーが好きだったので、それに影響を受けてフィルムで撮るようになりました。


—その頃からカメラはお仕事にしようと思ってたんですか?

いや、それは思っていなくて。
DJは特にそうなんですけど、3年くらい経った時に人様の音楽だと強く思うようになってしまったんですよね。でも写真なら自分を表現できる、と思ったんです。オリジナルになれると思ったのが続いた理由で、仕事にはしようと思ってなかったけど、上京して続けていたらその延長線上で仕事になっていったという感じです。


—ちなみにカメラは独学ですか?

独学です。最初の頃はネットで調べたりカメラ屋のおじちゃんに聞いたり。
今でも初心者のフリをしてカメラ屋のおじちゃんに色々聞くこともあるけど。


—東京に来た理由はなんだったんですか?

大学卒業して、とにかくなんでもいいから東京に住もうと思って(笑)
東京にきて、バイトを探して、福岡で貯めたお金で家を借りて。
理由は特に何もなかったです。笑


—思い切りがいいですね(笑)
写真家として活動し始めたのはいつ頃からですか?
現在はどのような仕事がメインかも教えてください。

19歳、20歳くらいの時です。だから今年で7年目かな。
時期によって仕事内容はバラバラですが、今はアー写が特に多いです。


—確かに、音楽関係の写真が多い印象があります。
それはやはり井崎さん自身がDJをやっていたのとも関係あるんですか?

それも少しはあるかも。
でも、単純に僕自身が音楽が好きで、周りにそういう友達が多いというのもあるし、音楽を好きな人が僕の写真を好きになってくれることが多い気がする。直接(DJの時に)繋がっていたかというとそうではないけど、根本の部分では音楽が好きという部分が共通しているからなのかな。


—今の作風は最初からですか?

画角や捉え方は変わらないかな。どういう向きが好きかとかも全く変わらない。昔の自分でもこうしただろうなって思う。機材、設備が整ったことによって出せる色や仕上がりが変わったのはあると思う。


—撮る写真に対して意識していることはありますか?

対「人」の場合、考えない。何も考えない。平常心が全て。無理しちゃだめだし、取り繕っちゃだめだと思ってる。完成を想像して撮っているわけじゃなくて完全に感覚で、なんか良さそうだな、って思いながら撮ってますね。


—フリーランスだからこその利点、不安、苦労などがあれば教えてください。

総じてよかったことで言ったら、自由に限る。良し悪しは自分で決められる。それが今日までのびのびできた結果。その分、生きるのが大変。働いて、撮影して、の繰り返しで体力的には培われた。次は何をしよう、って作戦を練ったり常に考えてるから休みというものがあまりないですね。それは和泉さんも一緒だと思いますけどね(笑)


—そうですね。休みはあってないようなものかも、、、。
現時点でも様々な場所で活躍されている井崎さんだとは思いますが、これからの未来像ってありますか?

今の自分はわりと20歳の時に思い描いた理想図なんですよね。好きなことをして、お米に変える生活ができているというか。それを今やっと掴めて嬉しいし、これを継続させていくには、もっと上に行くには、ってことに興味がある。漠然とこれを成し遂げたいっていうのはないけれど、写真を撮っている以上、写真家として有名になりたいというのはあります。


—では、そろそろコラボレーションのお話に進みたいと思います!
KotokaIzumiに対する印象や引き受けてくれた理由を伺いたいです。

単純にコラボとか共作には興味があって。やっぱり一緒に作ることって楽しいじゃないですか。だから、待っているし、待っていたし、ってところがあったかな。
絵は上手い下手って言われがちだけど、僕が素敵だなと思うのは、色でもタッチでも配置でも全てのバランス感なんですよね。和泉さんの作品はそのバランス感が気持ちいいと思っていました。例えば文字を入れる場所や大きさで、僕でもそうするな!って共感できるところが多いなと感じていました。だからきっと写真もいいように使ってくれるだろうなと思ったので、コラボレーションは迷うことなく受けさせてもらいまいた。


—すごく嬉しいお言葉、ありがとうございます。
井崎さん自身も写真をものに落とし込んで商品を制作していますし、またそのデザインがとても素敵で、、、。(こっそりオンラインで買っています。)今回の制作はかなり緊張していました。笑

実は、そういうふうに振る舞っていました。(笑)
ちょっとだけ緊張感があった方が絶対にいいものができるから。
「お任せしますよ」って感じで(笑)
ちょっとしたスパイスは何においても重要ですからね。


—そうだったんですね。まんまと乗せられました。笑
今回の4つの写真も、実際の目に映る物というよりは、未知の世界のような、どこか不思議な感覚になる写真でした。(個人的な感想ですが) それぞれの写真について背景を教えてください。

No.1
写っているのは木とコンクリ、場所は屋上だったかな。
多重露光で撮っていて、フィルムもポジなので編集はしていないです。少し入り込んでいるブルーは、メタリックな水色のものを持ちながら光を反射させて色を入れ込ませました。

No.2
これはフィルムの色シリーズですね。
実は僕、フィルムの端フェチなんです(笑)フィルムの端っこの感光している部分なんかを自分の家でスキャンする時に細かく見て、ここを抜き取ろう、ってサンプル採集みたいな感覚で色を集めています。それでいろんな色を集めて、眺めて楽しんでいます。

No.3
旅先で撮った風景の写真です。
真ん中にある空洞みたいにも直線的にも見える感じに惹かれて撮りました。昔からSFが好きで、作られた非現実や直角線が好きなんですよね。それを見た時にテンション上がって撮りたくなります。

No.4
仕事で撮影をしている隙間で撮りました。
水面が好きで、ついつい水に心を奪われがちなんです。場所は二子玉川だったかな。


左から順に No.1/No.2/No.3/No.4

—詳しくありがとうございます。SFが好きというのを聞いて、今まで井崎さんの写真から感じていた非現実的な感覚に納得がいったような気がしました。
それぞれ背景のある写真を使わせていただきましたが、出来上がったコラボレーション作品はどうでしたか?

ものに落とし込んで、形になって残るものってやっぱり嬉しいですね。
さらにそれを手にして大事にしてくれる人がいると思うとやる気が出ます。


—最後に、井崎さんにとっての「日常の中の特別」とは?

写真に関して言えば、撮っている時よりも仕上がった時。
誰かのために撮ったものだったらそれを相手が見て、喜んでくれること。
そしてその瞬間、自分の生み出したものに価値が生まれること。


​-

私は今回「自分の描きたいもの」ではなく「共作」といことを中心において制作を始めました。
自分の意思でそこに向かっていたように感じていましたが、それは井崎さんによるスパイスが効いていたからなのかもしれません。インタビューを続けていく中で、作品は感覚であると言いながらも偶然を必然的に作り出す写真家、井崎竜太朗の魅了に引き込まれました。
コラボレーションの限定アイテムは、この夏にたくさん着て欲しい爽やかな仕上がりになりました。ぜひチェックしてください。


















【profile】
井崎竜太朗/Ryutaro Izaki

1994年生まれ。福岡出身。現在は東京を拠点として写真家として活動中。https://www.instagram.com/izryu/

Written by IzumiKotoka

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